普段はマンションの修繕・管理・建築に関する専門コラムを中心に発信していますが、
今回は少し視点を変えて、「敷地内に喫煙ブースを設置する際の法的ポイント」について解説します。
近年、マンションでも「バルコニーでの喫煙禁止」をルール化する管理組合が増え、
喫煙者が敷地内で安心して吸える場所がなく、住民間で協議になるケースが増えています。
ひと昔前は駅前・新幹線・映画館でも喫煙できた時代から、社会は大きく変化し、
現在では喫煙者が肩身の狭い思いをする状況になりました。
そのため、
“管理組合として明確な喫煙可能場所を設けることが、住民同士のトラブル防止と合意形成につながる”
という考えから、敷地内に喫煙ブースの設置を検討するマンションも増えています。
ただし、喫煙ブースの設置は建築基準法・消防法・受動喫煙防止条例など、
複数の法令を慎重に確認する必要があり、誤った判断をすると後から是正指導や撤去が求められることもあります。
今回は、マンションだけでなくオフィス・企業敷地にも共通する
「敷地内喫煙ブースを合法的に設置するための正しい知識」を、
専門家の立場から分かりやすく解説します。
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― 建築基準法・消防法・東京都受動喫煙防止条例に確実に適合させるために ―
企業や施設が敷地内に喫煙ブース(喫煙所)を設置するケースは増えていますが、
喫煙所は「建物と同じように法令の対象になる」ため、
法的チェックが不足したまま設置すると、後から撤去・改善指導が入るリスクがあります。
本コラムでは、
建築基準法、消防法、東京都受動喫煙防止条例の3点を中心に、
敷地内へ喫煙ブースを設置する際に押さえるべき“確実なポイントだけ”を解説します。
1. 建築基準法|敷地内の喫煙ブースは「建築物扱い」になる可能性がある
喫煙ブースは、次の条件に該当すると建築基準法上の「建築物」として扱われます。
■ 建築物に該当する主なポイント
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屋根がある
-
壁があり、内部空間が形成される
-
地面へアンカー固定など、“容易に移動できない”状態で設置する
-
床面積が10㎡を超える → 確認申請が必要になる
つまり、
「屋根+三方壁+床+固定」という一般的な屋外喫煙ブースは、
建築物扱いになるケースが多いのが実務上の判断です。
■ 確認申請が必要となるパターン
敷地内の独立したブースでも、
-
床面積が10㎡を超える場合
-
建物とつながる形で設置する(ひさしで接続等 → 増築扱い)
-
防火地域・準防火地域で延焼のおそれのある部分に該当する場合
などでは、建築確認申請が必要になります。
2. 消防法|火気は使わなくても「喫煙行為」自体が消防法の対象
屋外喫煙所は「火気設備」とみなされるため、
自治体の消防署によっては届出や設備要件が求められるケースがあります。
■ 重要なチェックポイント
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排煙・換気ファンの有無(電気設備は消防が確認対象)
-
吸殻処理容器の仕様(自己消火型/金属製が推奨)
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周囲の可燃物との離隔距離
-
隣接建物の開口部との距離と安全性
-
夜間の管理方法
-
電源を引く場合の防火措置
※ 喫煙所は「火を扱う行為が発生する場所」であるため、消防署への事前相談は実務上ほぼ必須です。
(自治体により求められる内容が異なるため)
3. 東京都受動喫煙防止条例|屋外でも“煙の流出”が問題になる
東京都では、屋外喫煙所でも煙が外部へ流出し、非喫煙者へ影響が出る設計は不可とされています。
■ 実務で必要となるポイント
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周囲の歩行者動線から十分離す
-
吸気口・窓・出入口など、建物開口部に煙が流れない位置を選定
-
風向き・周辺建物形状を考慮して配置
-
必要に応じて三面以上の囲いで煙を閉じ込める
-
区市町村によるローカルガイドラインの確認
東京都は他県よりも喫煙所の指導が非常に厳しいため、
「屋外だから大丈夫」という判断は危険です。
4. 敷地内設置で特に注意すべき“3つのリスク”
敷地内に喫煙ブースを設置する場合、
次の3つの法的リスクに直結します。
■ ① 建築確認の未申請による“違法建築”扱い
10㎡超のブース/固定式ブースは建築物扱いとなり、未申請だと違法建築(是正指導・撤去指導)となり得ます。
■ ② 消防上の不備による“是正命令”
喫煙所周辺の可燃物配置や排煙設備が不適切だと、消防署から是正を求められることがあります。
■ ③ 受動喫煙条例違反による“行政指導”
屋外でも煙が外へ流出する仕様はNGで、改善指導の対象になります。
5. まとめ|敷地内喫煙ブースは「法令チェックが必須」
屋外に置くだけの簡易設備に見えて、
敷地内の喫煙ブースは複数の法律・条例を跨ぐ専門領域です。
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建築基準法
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消防法
-
東京都受動喫煙防止条例
-
用途地域ルール
-
敷地状況(動線・離隔距離・配置計画)
これらを総合的に判断する必要があり、
設置前のリーガルチェックが必須となります。
特に東京都は規制が厳しいため、
専門家による設置前確認を強くおすすめします。
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