先日、弊社が所有する築36年のマンションの総会で、修繕積立金の30%値上げが決まりました。
弊社の所有する某マンション(東京都板橋区・北区付近)
601号室(61.49㎡)は、修繕積立金が
月額19,110円(@310円/㎡)
だったものが、
30%値上げ 24,800円
となり、
毎月5,690円の負担増
となりました。
まず前提として、誤解してほしくないのは────
管理会社は不誠実なサービスをしているわけではないということです。
むしろ、誠実に管理業務を行い、会計の透明性を確保し、住民の安心を守る努力を続けています。
それでもなお、現実には資金不足が生じ、値上げを避けられない局面が訪れるのです。
弊社は建築・リフォーム事業を行う立場としても、
一級建築士事務所としてマンション改修コンサルする立場としても、
区分所有者としての立場としても、
この問題を冷静に見つめる必要があると感じました。
そこから生まれたのが、次の3つの疑問です。
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① 修繕計画の「数字」は本当に“生きた”計画になっているのか?

値上げの際に総会資料に添付された修繕計画は30年先までの長期計画。
しかし内容を見ても、専門家の私が見ると、とりあえず数字を落とし込んで作成したんだろうな、、と感じる資料でした。
築年数、世帯数に合わせて自動的に金額が入力される「共通フォーマット」に近いものでしょう。
もちろん、管理会社として標準的な基準を提示することは必要であり、そこに悪意はありません。
ただ問題は、それが実際の建物の状態を反映した“生きた数字”なのかという点です。
人間に例えれば、年齢だけで健康診断の結果を判断しているようなもの。
実際には、血液検査や画像診断をして初めて「本当の状態」が分かるように、建物も建物診断を通して劣化の度合いや優先順位を把握する必要があります。
コンサルの立場から言えば、
「標準計画を前提にすること自体は間違いではないが、そこに現場診断の知見を上書きしていくことが不可欠」です。
そして区分所有者が納得して積立金を上げられるように、
- 優先修繕項目の明示
- 予算配分の根拠提示
- 意匠性・機能性の両立検討
- 住民構成(高齢化・居住率)を踏まえた柔軟な設計
こうした「見える化」された議論が必要です。
② もっと早い段階で対策を打てなかったのか?

築36年での30%値上げ。
弊社としては、このタイミングまで議論が先送りされてきたことに疑問を感じます。
管理会社は誠実に業務を行っていますが、理事会を構成する区分所有者はほとんどが建築専門外。
どうしても「与えられた資料を読み解き、理解すること」自体が難しいのが現実です。
つまり、管理会社の説明を正しく理解し、建設的に議論できる住民が少ない。
その結果、判断が遅れ、修繕積立金の不足が積み上がり、ある日突然の、、、、、
”””大幅値上げ”””
として表面化します。
この状況を防ぐには、
早い段階で中立的な専門アドバイザーを入れること。
専門家が長期修繕計画を第三者の視点で検証し、現実的な積立・支出バランスを作ることで、急な値上げを回避できると考えます。
また、新築時の積立金が低い物件は将来リスクが高いということも再認識すべきです。
販売価格を抑えるために初期設定を極端に低くしているケースがあり、結果的に築20~30年で急な値上げに直面します。
弊社が考える「健全なマンション」とは、
築25~35年の段階で値上げをせずとも十分な積立残高を保ち、必要な修繕を計画的に実施できているマンションです。
③ 素人ゆえの「情報格差」と区分所有者の立場の弱さ
何度も申し上げますが、今回の説明会では、管理会社から丁寧な説明が行われました。
それでも、区分所有者の多くは「嫌だ」「仕方ない」と言うしかありませんでした。
反論がそれぐらいしかできないのです。
あとは、ただ区分所有者同士でどうする?値上げしたくないよね?と言い合うしか方法がありません。
この問題に直面し私は思いました。
管理会社の資料、説明を正確に理解し、反論できるだけの専門知識を持っていないからです。
これは決して管理会社が悪いのではなく、専門性の違いが生む構造的な問題です。
つまり、住民は“素人ゆえに”管理会社の提案に従うしかなく、
結果として区分所有者の立場を守りづらい状況が生まれます。
ここで必要なのは、
「反対するための反論」ではなく、
「建物を維持するための選択肢を提示できる専門家」の存在です。
管理会社は日常業務を誠実にこなしています。
だからこそ、そこに中立的な第三者コンサルタントが加わることで、
- 管理会社:実務のプロ
- コンサルタント:分析と調整のプロ
- 区分所有者:意思決定者
という三位一体の体制が成立し、住民の納得感と信頼性が高まります。
終わりに ― 「正しいこと」と「納得できること」は別物
今回の修繕積立金の値上げは、弊社にとっても実際の負担として重くのしかかりました。
しかし同時に、この出来事を通して強く感じたことがあります。
- 管理会社は誠実に業務を遂行している
- それでも“数字の根拠”を見極めるには専門的な知見が必要
- 区分所有者が情報弱者のままでは、正しい判断ができない
大規模修繕工事は単なる工事ではなく、建物の健康診断であり、資産マネジメントそのものです。
コンサルタントとして弊社が目指すのは、
「正しいこと」だけでなく「納得できること」が共存するプロセス。
つまり、
管理会社が誠実に業務を行い、
区分所有者が正しく理解し、
その間を専門家が支える。
その仕組みこそが、これからのマンション管理に必要な“新しい形”だと考えます。
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